ミーム -新登場の自己複製子- 利己的な遺伝子 その3
利己的な遺伝子 <増補新装版>
<増補新装版>
全13章のうち11章まで読みました.1章から10章までは30億年かけて地球上で進化してきた生物に関する話でしたが,11章はそれ以外の生物の話です.
炭素や水じゃなくてケイ素やアンモニアで出来ていても生物.自己複製を行う実体の生存率の差にもとづいて進化するっていうのが生物の基本原理.地球ではたまたまその実体がDNA分子だったけど,他のものが実体になることもありうる.うん.ここまではよく聞く話ですね.
人間の文化をごく最近発生した新たな自己複製子としている.名づけて「ミーム」.これは熱い.
「青銅の武器の作り方」とか「鉄の武器の作り方」とか音楽とか宗教とか科学とかがミームね.まさにミームはミームの生存率の差にもとづいて進化してます.ミームAとミームBをもとにもっといいミームCを発生させたりしてついにはロケットを太陽系の外に飛ばすまでになりました.
今はまだミームは人間の脳内をメインに電気信号,音,光,磁気配列などに姿を変えてゆらゆらしている状態です.30億年前に海でゆらゆらしている原始の遺伝子に似ていますね.ウイルスみたいなもんです.それ自体は生物と呼ぶにはちょっと頼りない感じ.でも,遺伝子に比べてミームの進化スピードは圧倒的に速いのでそう遠くない時期に長門さんを派遣した情報統合思念体みたいな”生物”に進化するかもねえ.
こんなことを今から34年前に書いているなんてリチャード・ドーキンスすげーなあ.